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蘭陵亭小梅
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非公開
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会社員
趣味:
絵を描く
自己紹介:
テラ、桂つかさ、蘭陵亭。
妖怪、漫画、絵画が好きな3人組です。
通称『下駄三兄弟』。

妖怪で同人活動を行っています。
ご連絡はyakozen1313●gmail.comまで
●を@に変えてお願いします。

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鳥羽の火祭りについて

先日三河鳥羽の火祭りに行って参りました。
1200年前から行われていると伝えられる天下の奇祭です。愛知県幡豆町の神明社で行われ、柱を燃やしてその中の木を福地乾地の二組で取り合うというもの。同じ愛知県でありながら私も殆ど知らなかったお祭ですが、今回怪作戦の三人で足を運ぶこととなりました。そんな火祭りレポート。


IMG_5656.JPG







午後2時半頃、鳥羽の神明社に男たちが集まり、集会所で晒一枚の褌姿になって禊ぎの準備をする。既にテレビ局のカメラが何台か集まっていた。男たちは奉祀者と呼ばれ、主に年男と、有志の男性によって構成される。まだ2月の寒空の中、さぞかし寒いであろう奉祀者たちは集会所の中で酒を飲みながら輪になって「ワッショイワッショイ」と掛け声をあげる。そうでもしていなければ寒くて凍えてしまうのだろう。


3時になり、奉祀者は集会所から出て、神社から海まで練り歩く。
道路を一時通行止めにして、奉祀者と役員たちが歩いていく。この役員の衣装は、見事な刺し子の法被であり、流石伝統的な祭だと思わせる。先頭には提灯、幣を取り付けた棒を持った神男(しんおとこ・)2名が立つ。道々には見物客が立ち並び、さながら駅伝のようだった。この間も「ワッショイ」の掛け声は止むことがない。

IMG_5662.JPG






浜辺に着くのが3時20分頃、浜での大祓の後、男たちが「ワッショイ」の掛け声と共に海に入っていく。
殆どは足が浸かるばかりだったが、若者は腰まで浸かり、更に神男たちは胸辺りまで浸かる沖まで出る。意外と遠浅の海だった。
浜辺では役員が枯れ草に火を付けていた。殆ど見物人の目の前で燃やしている。海から出てきた男たちが火に当たる為だろう。男たちの掛け声に冷たい風、目の前で枯れ草のパチパチ燃える音やその熱気が渾然一体となって、得も言われぬ空間を作り出している。奉祀者たちは海から上がって暫くすると駆け足で神社へ戻っていった。


夕方からは人が増えてきて、特に沢山のカメラマンが柱の真ん前に陣取っていた。境内の坂の上には柱が立っている。これは中心に神木(しんぎ)と呼ばれる二本の柱を立て、その回りに竹や藁を葺いたもので「スズミ」と呼ばれる。これは16尺(6メートル)で地上に出ている分が12尺、これは一年の月の数を表しているんだとか。


IMG_5689.JPG7時半頃に社の前で祈祷があり、案内のアナウンスで「奉祀者は大変気が立っておりますので、一般の方は十分気を付けて下さい」と流れる。
「どんな野生動物だ!」

奉祀者はこの時「ネコ」と呼ばれる。火を除ける衣装をつけた姿が猫に似ている為だ。




拍子木を打ち、「ゆすり棒」という棒を揺らしながら奉祀者たちがスズミの方に進んでくる。先頭には矢張り提灯が掲げられている。この「ゆすり棒」は松でできており、スズミに火を付けたりその後スズミを揺することに由来しているそうだ。神男たちの後を箒のような木を持った奉祀者たちがあり、これは「はらい棒」といい落ちてきた火を払う為のものだという。

いよいよ火を付ける段であるが、火は火打ち伝承者と呼ばれる家が代々行っているという。未だに火打ち石でその火をつけるのだ。まず火打ち伝承者が石を打って「ゆすり棒」に火を付ける。カチカチと良い音が響く。そして火のついた「ゆすり棒」から、スズミの上部にある藁に点火するのだ。

空気も乾燥しており、火は瞬く間に拡がった。このとき8時。
IMG_5700.JPG
上の写真のスズミに、梯子が付いていることが確認頂けるだろうか。
ネコたちは、この梯子に登り、燃えさかる炎が上から落ちてくる中、このスズミを手掴みで揺らすのだ。

その姿はまさに勇壮、見物人からも、歓声や拍手が湧き起こる。

他の奉祀者は「はらい棒」で落ちてきた火を一カ所に集め、下から燃えるのを防いでいる。



それにしてもネコたちは代わる代わる、上から落ちてくる火をものともせずにスズミを揺らしにかかっている。この時、青竹が良く鳴るとこの一年は雷が多い、良く炎が上がると天気が良いと云われている。
これのユスリは先程の「ゆすり棒」と同時に揺すられ、三回に分けて行われる(一の棒、二の棒、三の棒と呼ばれる)。


さて、この祭の本分は、福地と乾地という二つの組のどちらが先にスズミの中の神木を取り出せるかを競い合う神事であり、福地が先に取ればその年は豊作、乾地が先に取り出すとその年は不作という占いの意味も含んでいた。そんなの福地が勝つに決まっているとお思いになるかも知れないが、ここ数年は乾地の勝ちが続いていたそうだ。

IMG_5704.JPG8時25分頃、周りの竹が崩れ、神木が見えてくる(らしい、というのは、我々からではそれが確認出来ず、解説のアナウンスに頼っていたからだ)。男たちはそれこそ火の中に飛び込んで木を取らんとしている。
ネコたちは力一杯引っ張っていたが、今年先に取り出したのは福地の方であった。
この神木を拝殿に奉納し、その後地中に埋もれている十二縄を取り出す。そして縄の奉納が終わると、火祭りは終了する。
竹の燃え残りを持ち帰って箸にすると、一年間歯の病に罹らないそうだ。


こういった福地、乾地(つまり作物が良く実る土地と不毛な土地)に分かれて神事を行うのは、豊橋の鬼祭にも見られることで、正月の際においては良くこういった競い合いをして占う神事が行われるようだ。興味深いことに、三重県の鳥羽にも、似たような火祭りが行われているという。



妖怪は関係ですが、面白い祭でした。まだまだ県内にも行ったことのない場所は多い為、また出掛けたらレポートを書きたいと思います。

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